スコアメイクの鍵を握る
30y・40y・50yの3つの距離感
Published on 25 Nov 2014
谷コーチが取り出したのは3本の傘。中田英寿氏が立っている位置から歩測を初めて、30歩、40歩、50歩の3箇所に傘を広げた状態で逆さにして地面に置いた。今回の課題は、30ヤード、40ヤード、50ヤードという3つの距離を打ち分けることだ。まずは、何も言わずに30ヤードを狙わせた。傘に入りそうなボールが何球か続き、悪くないように見えたが、谷コーチはクラブのスピード感を指摘した。現状の中田氏の打ち方は、大きめのバックスイングから、インパクトでヘッドを減速させる感じで振る。小さい振り幅だけに、フェース面を感じやすく、インパクトのフィーリングを出しやすいのだろう。ボールにどう当てるかをイメージする点ではサッカーと共通している部分があると中田氏は言う。しかし、谷コーチが掲げたテーマは「同じ力加減、同じスピード感」で振ること。今の打ち方だと、ボールのライが悪かったり、少しでもボールの手前からヘッドが入ったりすると、すぐにミスになってしまう。現状上手く打てているのは、優れた感覚があるからで、その感覚を活かすためにも基本の打ち方をマスターしておく必要があると言うのだ。言わば、今持っている感覚を抑える打ち方をしなければならないため、かなりの意識改革が必要になる。30ヤード、40ヤード、50ヤードという距離は、いわゆるフルショットできない中途半端な距離。フルショットはある程度、スイングが固まってくると大きなミスはなくなるが、中途半端な距離は、スイングの振り幅を自分でコントロールしなければならない。ミスの多くはインパクトでのゆるみ。ポイントは、自分なりの振り幅を3パターン決めること。今回は30ヤード、40ヤード、50ヤードだが、これが40ヤード、50ヤード、60ヤードの3つでもいい。ベースとなる3つの振り幅が決まれば、あとはクラブを変えるなどの微調整で、さらに中途半端な距離に対応できるようになる。ゆるまないインパクトを作るために、中田氏自身が持つ感覚をまずは抑えるという難題をどう克服していくかが今後のテーマになりそうだ。(文/出島正登)