残り100ヤード地点からの
ニアピン対決で実戦感覚を養う
Published on 01 Dec 2016
ゴルフに真剣に取り組み始めて約2年が経とうとしている。スイングに関してはレッスンの度に試行錯誤しながら精度を上げているが、今現在、中田英寿氏が技術面で目標にしていることがある。それはパーオン率を上げることだ。ティショットは次の1打が打てる場所に確実に運び、パー4で言えば2打目、パー5ならば3打目でグリーンオンさせる。乗せることができなくても、最低でもグリーン周りまできっちり持っていくということを目指している。そこで今回はシミュレーションゴルフを使って、谷将貴コーチと残り100ヤード地点からのニアピン対決で実戦感覚を養うことにした。中田氏曰くフルスイングできるショットに対しての不安要素は減ってきたが、コントロールしなければならないショットに関しては、スイングが緩むときがある。結果、ヘッドの入れ方がバラバラになり、ダフリやトップのミスが出るとのこと。微妙な距離の調整はある程度の感覚が必要になる。オートマチックに振る部分にフィーリングを融合させなければならない点に難しさがある。このあたりの感覚的な部分は中田氏自身も、経験を積む必要があると認識している。だからこそ室内の練習でもシミュレーションを使って、経験値を積むことに意味があるのだ。100ヤードの距離は中田氏なら52度のウェッジになる。フラットなライで、無風ならフルショットでややオーバーめ。少しのコントロールが必要になる。谷コーチも52度のウェッジを使用したコントロールショットになる。勝負は単純に近くに寄せた方が勝ちではなく、3球ずつ打って、すべてのトータル距離の平均で競う。要するに1発のラッキーではなく平均的なスキルが要求されるのだ。順番は中田氏からで、まずは感覚を図る意味も含めたファーストショットは、やや右にふけて7.9メートルにオン。谷コーチはピンに筋ったものの手前で8.9メートル残し。1球目では中田氏がややリード。2球目は中田氏が8.2メートルだったのに対して、谷コーチは流石の調整能力を見せて5.6メートルにつける。この時点で中田氏が16.1メートルで、谷コーチが14.5メートルとなり、1.6メートル差で谷コーチがリードとなった。そしていよいよラスト1球。ここで中田氏の集中が高まった。ラストショットはなんと2.6メートルにつけて、トータル18.7メートル。谷コーチは最後のショットで4.2メートルにつければ並ぶ状況に…。谷コーチの最後のショットは4.3メートル。結果、勝ったのは中田氏。わずか10センチの差で勝利をおさめた。「本当に追い込まれた時の集中力がすごいですよね」。と谷コーチ。実戦感覚がある程、集中力が増すことは以前からわかっていたことだが、今回でそれが改めて証明された。さらなる精度アップには、形も大事だが、今回のような成功体験の積み重ねも重要事項になっていきそうだ。(文/出島正登)