手を使わないヒップターンスイング
ゲスト:中井 学
Published on 04 Sep 2017
中田英寿氏はスイングの再現性を高めるために、いかに腕とクラブをスムーズに動かすかを追求し続けている。理屈では理解できても、それを実践できないのがゴルフの難しさだということは中田氏も十分理解している。そこで今回は中井学プロにゲストとして登場してもらった。中井プロは、長年ティーチングプロとして多くのアマチュアやプロの指導を行ってきた。経験値の高さやレッスンのわかりやすさなどは以前から高評を得ていたが、自分から発信する言葉にさらなる信頼性を持たせるには、それなりの材料が必要だと考え、43歳でPGAのプロテストを受験。見事に合格を果たし、正真正銘のプロゴルファーとして活躍の場を広げている。そんな中井プロのスイング理論の代表的な表現がヒップターンだ。要するに下半身主導で腕を使う意識は必要ないというもの。もちろん結果的に使われているという意味だが、腕が能動的に動かせるようになることで、ミート率が劇的にアップする。中井プロの理論の一部ではあるが、中田氏に体験してもらった。中田氏のスイングを見て、まず中井プロが指摘したのはテークバック。骨盤を前傾も後傾もさせない状態にして、そこから右側に少しスライドさせる。そこから胸をターゲットと反対方向に向けて、膝を軽く曲げればトップは完成するというもの。どこに上がるのが理想なのかを、模索していた中田氏にとっては、一つの目安となる感覚が生まれた。次にダウンスイング。ここでは膝の角度に着目。レッスンのセオリーではよく膝の角度をキープするように言われるが、それでは可動域が狭まると中井プロは言う。「ダウンスイングからフォローにかけては、膝は伸びていくべきなんです」。膝を伸ばすことで体、腰の回転がスムーズに行われて腕の動きを意識しなくても、ヘッドが走ってくれる。体の動きを最小限にすることで軸がブレていないのがわかると中田氏もその効果を納得した様子。中井プロの理論を参考に、さらにスイングの精度を上げていける手応えを感じていた。(文/出島正登)