風に負けない最強パンチショット
ゲスト:宮瀬博文
Published on 12 Aug 2018
今回のスイングタイムラインは千葉県のカントリー・クラブ・ジャパンにて、宮瀬博文プロをゲストに迎えて行った。テーマはアマチュアが憧れる“パンチショット”。通常のフルショットとの違いは、振り幅をコンパクトにして、低く抑えた弾道になる点。宮瀬プロ曰く「風の強い日や、ボールのライが悪いときなんかは効果的ですね」とのこと。また、しっかりボールをコントロールできるので、セカンドショットだけでなく、狭いホールのティショットなどでも応用することができると言う。中田氏にパンチショットのイメージをまずは聞いて見た。「ボールにヘッドをぶつけると言うか、強く打ち込んでいるようなイメージをプロのショットを見ていると感じます」。このイメージに落とし穴があると宮瀬プロは言う。宮瀬プロ曰くイメージはアプローチショットだと言うのだ。「まずはクラブを短く持って、振り幅は肩から肩。パンチショットという言葉のイメージからボールを強く叩くイメージはあるかもしれませんが、逆に通常のスイングと比べて4割から5割の振り幅で、しかもゆっくり振るイメージを持ったほうがいいですね」。振り幅が小さくなり、コンパクトに振る分だけ、結果的にインパクトでヘッドを加速させているように見えるだけだと宮瀬プロは言う。飛距離に関して、今回は7番アイアンを使用して行ったが、ここでも意外な回答が。中田氏は振り幅が小さくなる分だけ、飛距離は落ちるものだと思っていたが、番手はほとんど変える必要はないとのこと。「例えば7番アイアンで160ヤードが通常のショットの飛距離だとすると、パンチショットでも同じ距離が出ると考えてください。要するに弾道が低くなる分だけ、落ちてから転がるのでトータルの飛距離はそれほど変わらないんです。パンチショットを使うからと行って小さめの番手を持つと大オーバーなんてことも起こってしまうんです」。弾道が低くなるため、グリーンの手前にバンカーなどがあって、ハザード越えになるシチュエーションでは使用することができない。しっかりピンのポジションとグリーン周りの状況を把握した上で、パンチショットは選択する必要がある。もう一つパンチショットで気をつけなければならないのが手打ち。“インパクトをして終わり”といったイメージを持っているとどうしても手打ちになりやすいと宮瀬プロは警鐘を鳴らす。「パンチショットも通常のショットと同じく体をしっかりと使うことが大事なんです。体の回転を主体にクラブを動かす。通常のショットと違ってヘッドを走らせずに、フェース面の向きをキープさせたまま振るので、僕のイメージはボールを運ぶイメージなんです」。宮瀬プロはパンチショットを習得するには7番アイアンや8番アイアンで100ヤードを打つ練習、もっと言えば50ヤードくらいを打つ練習をして、小さい振り幅でも体をしっかり使うことをマスターすると、フルショットの精度も高くなるとのこと。実際に小さい振り幅でトライした中田氏。もともと、フェース面の向きの意識が高かったため、短い距離に対しての動きは宮瀬プロも驚くほどのスピードで結果を出していた。パンチショット の真意を経験した中田氏は「全てのショットをこれで打ってもいいくらいですね」と言うほど手応えを感じていた。ミート率が高くなり、何よりも狙った方向へラインが出るようになった。これが実戦でも大きな武器になるに違いない。宮瀬プロも「今回のような動きがラウンド中にできれば、例えば林の中に打ち込んでも低い球で脱出させることができるし、実戦の中のいろんな場面で多用できると思います」とのこと。実戦ラウンドでスコアを崩さないためのスキルをまた一つマスターできたと言っていいだろう。(文/出島正登)