〈スペシャル企画〉
ツアープロコーチ内藤雄士による...
中田英寿スイング徹底分析-後編-
Published on 24 Dec 2018
今回は千葉国際カントリークラブ(PGM)にて内藤雄士コーチをゲストに迎えて行われたスイングタイムラインの後編。ハイスピードカメラで中田英寿氏のスイングを分析した結果、内藤コーチが修正ポイントとしてあげたのは上半身と下半身の連動性だった。「スイングの形はかなり綺麗だと思います。ただ、上と下の動きがもう少し連動してくると、かなり力の乗ったインパクトになってくると思います。そのあたりを修正していきたいですね」。まず中田氏に意識させたのがテークバックでの沈み込み。前傾角度を保ったまま、右足の股関節部分にパンツのシワが寄る感じで右足に体重を乗せる。言い換えるとテークバックのときに右足で地面を踏むようにして体重を乗せ、力を溜める作業を行うわけだ。中田氏のトップ位置はもともとコンパクトだが、この動きにより小さいトップでも力をしっかり溜められるようになる。また、切り返しのときにやや腕の動きが強くなり無駄な動作が入ってしまう問題点も、この動きによって解消されることが期待された。切り返し後は、今度は右足で地面を蹴りながら腰を回転させていく。中田氏が「V字に振っているようなイメージがあるので、違和感はまだ感じます」と話すように、動きの説明だけを聞くとスクワットをしてジャンプしながら打っているような印象を受ける。ただ、実際にその動きを取り入れてスイングしたスーパースロー映像を見るとジャンプどころか、むしろスムーズに振り切れているように見える。「すごいヘッドスピードが出ていますよ。これは僕の想像をはるかに超えていました。結局、溜めた力を効率良く出せているので、それがヘッドスピードアップにつながっているわけです」と内藤コーチは言う。目指したのはインパクトでいかに力をボールに対して解放させるかということ。そのためにテークバックで力を溜めて、それをインパクトで解放する。この一連の動きは上半身と下半身の動きが連動しなければ実現しない。今回のレッスンで中田氏の体に変化が起きた。それはお尻の張りだ。「数十球打っただけなのにお尻が張る感覚があります。今までこの筋肉を使って振った覚えがないので驚きました。ただ、インパクトでボールにパワーが乗っている感覚は確かに感じることができました」。内藤コーチ曰く、肩甲骨の可動域の違いや、下半身の筋力の違いなどはあるものの、プロもアマチュアも使うべき体の箇所は同じとのこと。動きの連動性を高めることができれば、筋力がなくても飛距離を伸ばすことができるし、ショットの精度を安定させることも可能。また新しい動きの感覚を学んだ中田氏。目指すべき、効率が高く、綺麗なスイングへまた一歩近づいたのかもしれない。(文/出島正登)