簡単!! バンカー克服術
-前編-
ゲスト:細川和彦
Published on 11 Mar 2019
今回のスイングタイムラインは茨城県にある名門・茨城ゴルフ俱楽部を舞台に、メジャー2勝含むツアー通算8勝を誇る細川和彦プロをゲストに迎えて行われた。テーマはガードバンカー。中でも「アゴの高いバンカーショット」と「ピンまで距離の長いバンカーショット」を苦手にしている人は多い。そこで上手く打てない原因と対策について細川プロにレッスンしてもらった。バンカーショットは練習する環境が少なく、ラウンド中はなんとなく自身の頭の中にある知識だけで対処している。そんなアマチュアゴルファーは多いのではないだろうか。実際、中田英寿氏も結果的に上手く出せるケースはあっても、なぜ出せたのかを実感できていないと話している。「バンカーショットには色んな疑問がありますね。ボールを打たずに意図的にダフらせるのはわかるんですが、じゃあどれくらいまでダフっていいのかなど、知りたい部分がかなりあります。例えば高さを出したいときは、どのような打ち方が必要なのか。スキルとして理解した上で身に付けたいですね」と中田氏。アゴの高いバンカーショットに関して、細川プロはまずはアゴの高さをクリアさせることを一番に考えるべきとのこと。「ピンに寄せたいという気持ちが強くなると体が起き上がったり、ヘッドアップが起きたりして、ダウンスイングでクラブが寝やすくなります。ヘッドが下から入る動きは絶対に避けたい動きです」。高さを出せない理由はクラブが寝ることにあると細川プロ。「目の前のアゴが高いと心理的にボールを上げたくなりますが、高く上げたい時ほどクラブを上から下に振る意識を強く持つことです。バンカーショットはボールを直接打つわけではありません。ボールの下にいかにヘッドを入れられるかが大事なことなんです」。基本的には通常のショットの延長線上にバンカーショットがあると考えていいのこと。ただ、高さを出さなければならない時など、状況に合わせてオプションを加える必要があると言う。「まず高さを出すためにやるべきことはフェースを開くこと。開けば開くほど、高さが出て、ボールは飛ばないと考えてください。フェースを開いたら、その分だけスタンスもオープンにします。この時、大切なのがクラブを振り抜く方向です。スタンスラインに沿って振り抜いてください。中田さんの場合、ピン方向に振っていたので、刃から当たってトップになっていたんです」。振り抜く方向をターゲットではなくスタンスに沿って左に振るようにしてから高さが簡単に出せるようになった中田氏。振り抜く方向とスタンスの方向を揃えることで、砂への入る角度が良くなり、構えたなりの角度でボールが飛び出すようになった。ヘッドを落とす位置に関しては、基本的にボール1個から2個分手前にヘッドを落とすイメージでいいと細川プロ。それを基本に考えておくとボールにクリーン目に入ってもスピンが効くし、思ったよりもダフり目に入っても、今度はランが出るのでトータル飛距離にそれほど差は出ないと言う。ミスを想定してどれくらいダフっても大丈夫なのかを知ることも大切だが、バンカーショットはとにかく脱出することが最優先なので、ダフり方に関してはある程度アバウトに考えるほうがいいと細川プロは言う。また、アゴの高いバンカーでよくあるのが、ギリギリバンカーを越えなくて斜面にボールが刺さってしまう目玉。絶望的な状況に感じるが、細川プロは脱出するだけならそれほど難しくはないと言う。「目玉の場合は、ヘッドをいかに砂に中に打ち込めるかが重要になります。砂を取るとか運ぶといったイメージは必要ありません。そこでポイントになるのがフェースを目一杯閉じて構えると言うことです。開くとバウンスが効いて砂が爆発しやすくなりますが、逆に閉じると刃から刺さりやすくなる。これを利用するわけです。アゴの斜面ということは左足上がりになります。足場を固めて、ボールめがけてヘッドを打ち込むだけです。フォローを取る意識も必要ありません」。半信半疑のまま実践した中田氏だったが、いとも簡単に脱出できた。ボールが7割ほど埋まっている状況でも砂に打ち込むことさえできれば脱出は可能。また一つ大叩きをしないためのスキルを手に入れることができた。次回は「ピンまで距離の長いバンカーショット」のレッスンを紹介。バンカーショットの中でも特に難しいと言われる中途半端な距離のバンカーショットを中田氏はどう克服するのか。ご期待ください。(文/出島正登)