ゴルフは科学で上手くなる!!
ゲスト:井上透
Published on 22 Oct 2019




今回のスイングタイムラインは横浜市にある横浜本牧インドアゴルフ練習場にて、ツアープロコーチの井上透プロをゲストに迎え行われた。ここを主宰する井上プロは成田美寿々や穴井詩らを指導するプロコーチであり、東京大学ゴルフ部の監督も務めている。弱小と言われた東大ゴルフ部を最先端の科学を用いた指導法を取り入れて激変させた実績を持つ。今回はその科学でゴルフが上手くなる術を中田英寿氏が体感する。井上プロ曰く、昨今の世界トップレベルの選手たちの飛距離が飛躍的に伸びている要因はギアの進化とは別にスイングを分析する技術が向上したことにあるとのこと。「このスタジオでは弾道計測のトラックマンやスーパースローでスイング動画を見ることができるPlesio、ゴルフシュミレーターのGDRなど今や世界でスタンダードと言われるデータ分析の数々を行うことができます。今はバイオメカニクスだったり運動力学だったり、科学からゴルフを見る時代になっているんです」。まず中田氏が体験したのはスイング中の体重や重心の配置がわかる計測器。マットのようなものの上でスイングするだけのものだが、いかに自分が意図通りに動けていないのかが数値として可視化される。「左腕が地面と平行になったポジションで、プロは最大に右に体重が乗った状態なんです。そのあとはすでに左サイドへの移動が始まっているんです。プロの平均的な数値で言えば70から80パーセントがこの時点で乗っています」。この事実に驚きの様子を見せた中田氏。実際に中田氏のデータでは左腕が地面と並行になった箇所では、いいデータだったものの、トップ位置にクラブが上がった箇所でも80パーセントの体重が右足に乗っていた。そのためインパクトで間に合わなかったり、詰まったりする現象が起きていたのだ。データを取ることで、目では見えないものを確認することができる点では、中田氏も納得できる部分が多いと話している。次にスーパースローで中田氏のスイングを分析すると、フェース面の先に当たっているデータが出た。ここで試しに、打点がわかるシールを実際にクラブに貼り、アナログな方法でも打点をチェックしてみると、確かにフェースの先端に当たっていた。ボールがフェース面の先端に当たることは中田氏自身もアイアンショットの悩みの一つとして把握していた部分だが、なぜ先に当たるのかがわからなかった。井上プロは、こういったデータ計測は健康診断と同じようなもので、定期的に診断することに意味があるという。ある程度の基準値があるから、いい時と悪い時の差がわかり、さらに対策も明確になってくる。時代の最先端のスキルアップ術を体験し、中田氏自身も抱いていた多くの疑問が解消されたようだ。(文/出島正登)