体の動きとクラブの動きを
同調させる
Published on 23 Feb 2015
ある程度ボールに当たるようになってくると、もっと飛ばしたいという欲が出てくるのがゴルファーの性。中田氏もハーフスイングの安定感が徐々に高まりつつあるだけに、この時期に徹底して無駄な動きを取り除いておく必要があると谷コーチは言う。この日は「TANI MASAKI GOLF ACCADEMY」の池野谷コーチがレッスンを担当。今回中田氏がトライしたのは、小さなゴムボールを両腕に挟んだままスイングする練習法。これは多くのツアープロも実践している練習法で、体の動きとクラブの動きを同調させることに役立つ。見た目はビギナーがやる練習のように見えるかもしれないが、プロがツアー中の練習に取り入れているということからも、腕と体の同調の難しさが予想できる。ポイントはボールを挟んだまま打つことで、強制的に動きを制限するという点にある。いろいろある練習法の中で、スイングの精度が確実に上がる練習だと谷コーチは言うが、懸念している点がある。動きを制限するということは感覚を抑え込むということで、人並み以上の感覚を持つ中田氏にとって、最も難しい練習と言える。上手く打てても、最初の内は違和感が先行して気持ち良くない。「この違和感を乗り越えなければ、反復性と再現性の高いスイングを手に入れることはできないんです」と谷コーチ。中田氏にとって、スイングをステップアップさせていく上で、最初の壁とも言うべき練習となった。ハーフスイングでは、芯でヒットできる確率が上がっていた中田氏だが、ゴムボールを腕に挟んだ途端、ミスショットを連発。フィーリングでボールに当てる能力が高いだけに、動きを制御することで、体でタイミングが取れなくなったことがミスになる原因とのこと。できるだけ上半身、特に腕から先の余計な動きを抑えて、下半身主導でスイングできるようになれば、両腕が制御された状態でもリズム良くボールを打てるようになると谷コーチは話す。「もともと、下半身はプロゴルファー以上の筋力があるだけに、上半身と下半身を連動することさえできれば、自分ではそれほど強く振っている意識がなくても勝手にヘッドが走って、簡単に飛距離を出すことができます。ボールを挟む以外にもタオルを脇に挟む練習法など色々方法はあるので、中田さんに合うやり方でこの感覚を身につけていきたいと思います」。サッカーではフィーリングを駆使してきた中田氏だが、その優れたフィーリングをより効果的に発揮するためだと信じ、ミスを繰り返しながらも黙々と打ち続けた。(文/出島正登)