中田英寿氏の
現段階での飛距離
Published on 30 Jan 2017
練習を重ねるごとに、中田英寿氏のスイングレベルは確実に向上している。谷将貴コーチも「あとはタイミングやリズムの問題。インパクトでヘッドが間に合うかどうかで、ミスになっているだけで、スイング的に大きな問題はないレベルです」と話している。今回の練習では、中田氏の現在の飛距離を把握するためにドライビングアイアンとウッドを使用して数値を測定。ただし、中田氏はドライバーを普段使用していないため3番ウッドで検証した。谷コーチにも同じく3番ウッドとドライビングアイアンを打ってもらい勝負形式でデータを測った。飛ばすことへのこだわりは中田氏の中には存在しないが、勝負となればそれば別。ご存知の通り、中田氏の集中力は一気に高まった。まず中田氏が3番ウッドを打った。1球目はタイミングが合わず、やや振り遅れ。飛距離的には240.9ヤードで、当たりが悪かったわりには十分な数値が出ていた。3番ウッドで放った2球目も、1球目よりは良い当たりだったもののヒール気味。谷コーチからも「惜しい!」と声が溢れるほど、わずかなタイミングのズレで薄い当たりになっているようだ。ヘッドスピード的には43m/sから44m/sあたり。一方の谷コーチは、3番ウッドで263.0ヤードをマーク。プロとしてさすがの数字を叩き出した。次に谷コーチがドライビングアイアンを手にした。谷コーチ的には、通常はバッグに入れていないクラブとは言え、プロとして負けるわけにはいかない。谷コーチ自身の感触的にかなり良かった打球は249.9ヤードをマーク。まずまずといった表情と見せていたが、続く中田氏のショットで一変した。中田氏が放ったショットは、なんと254.1ヤード。ヘッドスピードにして47m/sを記録した。会心の当たりに中田氏も思わずガッツポーズが出た。打ち慣れているクラブとは言え、3番ウッドよりもヘッドスピードが出ている点に注目したい。おそらく中田氏のスイングスピードで、ドライバーで芯を喰えば、280ヤードは確実に超えるだろう。ただ、今回の3番ウッドのデータからもわかるように、クラブの長さが少し長くなった分だけ、タイミングが取れずに逆にヘッドスピードが落ちている。ミート率にしても18ホールを平均すれば、ドライバーとドライビングアイアンではかなりの差が出るだろう。中田氏が、スコアを出すために選択している方法は間違っていない。中田氏自身が最も自分のゴルフレベルを把握している証と言える。ドライビングアイアンでは負かされた谷コーチだが、プロとしての意地で、中田氏の数字を越えようと再チャレンジしていた姿が印象的だった。その様子はFacebookページで公開する予定…。お楽しみに。(文/出島正登)