目からウロコのパッティング術
ゲスト:南 秀樹
Published on 01 Feb 2018
今回のスイングタイムラインは京葉カントリークラブにて、南秀樹コーチをゲストに迎えて、パッティングのスキルアップを目指す。南コーチは香川県を拠点に活動しており、昨年の国内女子ツアー賞金女王の鈴木愛を育てるなど、アマチュアからトッププロまで幅広いレベルのゴルファーを指導している。昨年は成田美寿々がパッティング専門のコーチとして契約を結び話題を集めた。中田英寿氏はパッティングに関して常に疑問を持っていた。周囲からはパッティングに関して褒められることが多かったにも関わらず、本人にとっては確信的なものがないだけに、いつも不安要素がつきまとっていたと言う。そこで今回は南コーチにプロも実践しているドリルなどを交えて、転がりの良いパッティングスキルを身につけるためのレッスンを行ってもらった。まず南コーチが着眼したのがアドレス。「パッティングに限ったことではないですが、一番重要なのはアドレスなんです。グリップは上から握るのではなく、やや下から握るイメージで握ります。すると自然に脇が締まって、体との一体感が出ますよね。あとは前傾して、ライ角通りに構えることができます」。南コーチが挙げるアドレスで重視すべきポイントは次の3つ。グリップを下目から握る。ライ角通りに構える。左足体重。結果、目線の高いアドレスが完成して、ラインを見やすくなるとのこと。正しいアドレスを作り、正しいストロークを身につけるために、南コーチが実践させているのは長い棒を両脇に挟んだ状態でストロークするドリル。中田氏もそうだったように、多くのアマチュアはヘッドを真っ直ぐに動かそうとして肩を縦に動かしてしまう。実はヘッドは開閉するのが正しく、胸の向きで言えばフォローは開くのが正解になる。「頭を残せとよく言いますが、残しすぎるとフォローは手だけの動きになって、分厚いインパクトにならないんです。パッティングは小さい動きですが、だからこそ体で押し込む動きが必要になる。だから体は開くのが正しいんです」。体でボールを押す。中田氏にはなかった感覚だ。それを習得するための効果的な練習法が、アドレスの位置からフォローだけで打つドリルだ。これは鈴木愛が今でも続けている練習法で、フォローでボールを押す感覚を磨くことができる。これのドリルを実践した後、普通のストロークをして中田氏自身が感じたことが音だ。ゴツっと言う芯と芯でヒットできている感覚になり、全体的に打感が良くなったと表現している。「どうしてもヘッドをどう上げるかとか、どのように当てるかを意識しがちですが、フォローを意識すればいいだけなら、フォローの大きさで距離感の目安もできるしわかりやすいですね」と中田氏。体を使えばフォローだけでかなりの距離を打つことができる。それがわかったことで、ストロークがかなりスムーズになった。南コーチがさらに良いストロークをするために指摘したのがリズムだ。「中田さん、テークバックでヘッド上げにくいんじゃないですか?」。南コーチ曰く、中田氏は2拍子で打っているから、始動でヘッドがスムーズに上がらないという。「リズムは全て3拍子なんです。3拍子を心の中で唱えながら打つと、上げにくさは解消されるはずです」。南コーチは「これだけの時間でなかなか上手くできるようになることってないんですけどね」と言うが、実際に中田氏のボールの転がりは変化した。中田氏自身もその変化を体で感じ取ったようで、わからなかったことが明確になり、余計なことを考えずに済むようになったと話す。スコアメイクの観点から、最も重要視されるパッティングだが、スキルアップする上で、大きなきっかけを中田氏は掴んだのかもしれない。(文/出島正登)