スピンもロブも自由自在の服部式アプローチ
ゲスト:服部道子
Published on June 18 2018
今回のスイングタイムラインのゲストは服部道子プロ。ツアー通算18勝を挙げており、1985年には日本人として初めてとなる全米女子アマを制した経歴を持ち、現在はトーナメント解説などで活躍している。そんな服部プロに千葉県のザ・カントリークラブ・ジャパンにてアマチュアの憧れ“スピンアプローチ”を中心にグリーン周りの様々なシチュエーションでの状況別レッスンを行ってもらった。中田英寿氏はアプローチに関して「感覚で振るとボールへのコンタクトは正確になるけれど、それが精度の高さに繋がるのかがまだわからない」と言う悩みを持っている。形を決めてやった方がいいのか?それとも感覚を重視するべきなのか?服部プロの答えは、基本的な形に感覚を取り入れると言うもの。要するに守るべき動き、やってはいけない動きだけを理解しておけば、あとは感覚を大いに使うべきと言うこと。「中田さんほどの感覚があると、それを生かした方が絶対にいいですね。ただ、手首を使いすぎないとか、アプローチの精度を高めるためのポイントはいくつかあります。それを守ればスピンアプローチもそれほど難しくはありません」。まず基本的な花道からの約20ヤードのアプローチ。中田氏の動きを見て指摘したのが手首の使い方だった。ボールに当てようとしてダウンスイングで右手首の角度がほどけてしまっていることに着目した。「右手の甲側の角度をできるだけ崩さないように振るのがポイントなんです。これができるようになると、フェースにボールが乗る時間が長くなります。それだけボールをコントロールできるようになると言うことで、中田さんが悩んでいらっしゃる距離感の合わせ方なんかも解消できると思います」。服部プロ曰く、スピンがかからないのもこのダウンスイングの手首の角度が解けるのが原因だと言う。プロのアプローチは思っている以上に低く出る。そしてワンバウンドしてからスピンがキュキュッと効いて止まるわけだが、これもフェース面にボールをしっかり載せているから成せる技だと服部プロは言う。「中田さんの場合、少しボールを右足寄りに置きすぎていることがあるので、それで低くは出ますが、スピンが効かずに止まらないと言うことになるんです。大事なことはウェッジのロフト通りにインパクトして上げること。そのためには正しい構えと、ボール位置が重要になるんです。私の場合は球の高さを打ち分けるのも基本的にはボール位置を変えるだけで対応しています」。服部プロの教えはいたってシンプル。服部プロの指導の通りに打つと、アプローチに悩んでいたのが嘘のようにピンによっていく。ピンが近かったり、下り傾斜で近くにボールを落としたいときは、構えから小さく構えること。バンカー越えなど高さを出したいときはボールを左足寄りにセットするなど、アマチュアが実践しやすいものばかり。プロが特別な打ち方をするのは、それをやる必要にかられたときだけなのだ。スピンアプローチもどちらかと言えば、少々難度が高くなるので、ミスの確率は高まる。結局、スピンをかけるにはヘッドスピードが必要で、それだけ振り幅が大きくなる。その分だけミスヒットの確率が高まるので、プロも試合の中の限られたシーンでしか使用しないとのこと。ただ、今回は細かくシチュエーションに分けて打ち方をレッスンしてもらったおかげで中田氏の中の疑問も色々と解消された様子。中田氏が持つ感覚をもっと活かせばいいと言う一つの答えが出たことは大きな収穫だったと言える。(文/出島正登)