目からウロコのパッティング術
ライン攻略篇
ゲスト:南 秀樹
Published on 11 Jul 2019
今回のスイングタイムラインは、北海道は恵庭市にある恵庭カントリー倶楽部にて、ゲストに南秀樹プロを迎え行われた。2度目の登場となる南プロには今回、応用編としてパッティングにおけるラインの読み方と距離感の合わせ方についてレッスンしてもらった。パッティングに関しては、中田英寿氏が日頃のラウンドでもよく口にするのが、距離感をどうやって合わせるかということ。多くのアマチュアゴルファーが中田氏と同じような悩みを持っているわけだが、最近の中田氏はボールは見ないで、ターゲット方向を見ながらストロークすることで対応している。要するに振り幅で距離感を考えるのではなく、目で見た感覚のまま、体を動かしているわけだ。この方法に対して南プロは「さすがですね。実際にそうやってストロークしているプロゴルファーもいますからね。目から入ってくる情報というのは非常に大切なわけです。だからプロゴルファーも打つ前にボールの後ろ側に立って、打っていくラインのほうを見ながら素振りをしていますよね。あれは目から入ってくる情報を体に落とし込んでいるんです」。中田氏の方法は間違ってはいなかった。ただ、その方法がハマるときとハマらないときがあるのはなぜかという質問に対して、南プロ曰く「プロの場合、コースは毎週のように変わりますが、グリーンの速さに関してはそれほど大きな違いはありません。アマチュアの場合は、プレーするコースによってかなりグリーンの速さが変わるので、単に目から入った情報だけでは対応できない場合があるんです」とのこと。そこで南プロが中田氏に実践させた練習法がある。「朝の練習グリーンで上りの真っ直ぐと下りの真っ直ぐの約10ヤードを1球ずつ交互に打つ練習をしてみてください。それをやると、上りの10ヤードはこれくらい、下りの10ヤードはこれくらいというのが、感覚として体に覚え込ませることができるんです。これを朝の練習グリーンでやれば、その日はグリーンで距離感が全然合わないなんてことは起こらないはずです」。ここで南プロはもう一つのアドバイスをくれた。「上りと下りの距離感は単純に上ってるのか、下っているのかというだけでなく、フックラインやスライスラインでも応用できるんです。フックやスライスラインを読む時に、曲がりの頂点をまずはイメージします。よく言うスパットというやつです。フックやスライスラインというのは、その曲がりの頂点までは上りになることが多いんです。上りながら頂点に達して、その先は惰性で転がっていく。そういうイメージを頭の長で描くことが、ラインを読むということなんです。プロ達に言わせてみれば、ラインを読むというよりは自分で作っているというのが正確な表現なのかもしれません」。また、南プロ曰くプロは重い球と軽い球を打ち分けていると言う。「プロのボールって外れても、カップを過ぎてから不思議なくらい止まりますよね。これはなぜですかってよく聞かれるんですが、あれは回転の良い重い球を打っているからなんです。特に下りのラインは、打つのが怖いから合わせてしまいがちです。それだけカップの手前でボールが寄れてしまいます。そこで重い球を打つと最後まで寄れずに転がり、かつカップを過ぎてからも止まる球質になるんです」。重い球は前回のパッティングの基礎編でやったように、腹筋にある程度の力を入れてフォローで押す動きが必要になる。ボールを押す打ち方ができれば下りのラインも怖さがなくなったと中田氏も話している。反対に距離が長いパットの場合は、初速を出すために、押すことよりもヘッドを走らせることがポイントになる。初速が速い球=軽い球ということだ。2つの球質を習得した中田氏。これまでは技術レベルは向上しているはずなのに、もう一つ確信を持てなかったパッティングにおいて、確実に次のステップに上ったと言える。(文/出島正登)