PGAツアーで主流の
最新アプローチを実践
ゲスト:植村啓太
Published on 23 Mar 2020
今回のスイングタイムラインは千葉県のカントリークラブ・ジャパンのアプローチ練習場にて、植村啓太コーチをゲストに迎え行われた。植村コーチは代官山でK’sアイランドゴルフアカデミーを主宰。個々に合わせたレッスンを展開し、ビギナーからトッププロまで幅広いレベルのゴルファーを指導している。今回のテーマはアプローチ。最近、PGAツアーで活躍するプレーヤー達のアプローチがよりシンプルになっているとの噂を聞き、それはアマチュアにとっても優位性があるものかどうかを中田英寿氏が体感した。スピンアプローチは誰もが憧れる打ち方だが、今どきのトッププロは意図的にスピンを入れにいく打ち方をしていないと植村コーチは言う。「昔はヘッドを鋭角に入れるなどして、摩擦を強めることでスピンをかけていましたが、打点が1点になるためリスキーな打ち方と言えます。アマチュアができなくても当たり前ですが、プロにとってもミスのリスクは高い打ち方なのです。それがクラブとボールの進化によって、そのような打ち方をしなくてもボールを止められるようになったわけです。きっちりボールにコンタクトすることができれば、ロフトなりの高さが出て、かつスピンが効いて止まってくれる。また、昔の打ち方と比べて、スピンのかかり過ぎなんかも起こらないので距離感を合わせやすくなったんです」。植村コーチが中田氏に最初に伝えたポイントは3つの角度をキープすること。「アドレスしたときの膝、前傾(腰)、手首という3つの角度をキープすることでクラブは常に同じ軌道を動いてくれます。要はリピータブルな動きが可能になると言うこと。PGAツアーのプロ達もこの3つの角度をキープし、よりシンプルにアプローチをするようになっています」。植村コーチ曰く、この打ち方のメリットはソールが使えるようになり多少のミスヒットでも大きなミスになりにくいことだと言う。ただ、それでも中田氏は何球かに1回、ダフリのミスが出ていた。「これはグリップに問題があります。中田さんに限らずアマチュアの方に多いんですが、左手をフックに握りすぎる傾向があるんです。フックに握るほどフェースはかぶりやすくなるので、インパクトで刃から刺さってしまうわけです。だから左手はウィークに握るのが正解。するとバンスが使えて、芝の上を滑らせることができます」。「確かにインパクトで突っかかる感じがなくなりますね。アプローチの時は意図的にウィークに握っておいてもいいんですか?」と中田氏。「もちろんです。ダフリやトップが出るなと思う人は一度、グリップを見直してもらいたいですね」。植村コーチは今どきのアプローチは特別なショットではなくショットの延長線上にあると考えるべきだと言う。「過度にオープンスタンスにしたり、カットに振ったりせずに、スクエアに構えて、ショットのようなイメージで振っていく。そうするとロフトなりに自然に高さが出てくれるシンプルなアプローチになります。スピンではなくボールの重さで止まるイメージを持つといいかもしれませんね」。アプローチがショットとつながっていることを認識すると、アプローチのインパクト音が乾いた音に変化した中田氏。中田氏はアプローチの距離感に悩むことが多いが、ショットのイメージを持つことで少し悩みは解消したようだった。(文/出島正登)